さっきまで普通に使えていたのに、急にSSDが「認識できません」になって、何度も電源を抜き差ししてしまっていませんか。僕もサポート窓口にいた頃、深夜にこの手の相談を何十件も受けました。だいたいみんな最初の一言が同じです。「さっきまで動いてたんです」と。
先に言っておきます。今そのSSD、これ以上通電しないでください。抜き差しも、再起動も、フォーマットの案内が出てもクリックしない。これが今夜いちばん大事な初動です。理由はこのあと説明しますが、動かない状態のまま何度も電気を流すと、論理的に軽症だったものが物理的な重症に変わることがあるからです。
前兆はあったか、なかったか。ここで話が変わる
僕がまず聞くのはここです。「昨日までに何か変な兆候はなかったですか」と。
具体的にはこういうものです。ファイルを開くのにやけに時間がかかった。エクスプローラーがフリーズして固まる回数が増えた。PC起動時に「Reboot and select proper boot device」みたいな見慣れないエラーが一瞬出た。カクつきが酷くて、ブラウザすら重かった。
こういう前兆があった場合、SSD内部のフラッシュメモリのセル劣化や、コントローラーの寿命が近づいているサインであることが多いです。SSDにはHDDみたいな「カチカチ音」がありません。壊れる時は静かに、ある日突然プツッと反応しなくなる。これがSSD特有の怖さで、前兆に気づいた人ほど「まさか本当に壊れるとは」と驚きます。
逆に、前兆が全くなくて昨日まで絶好調だったのに今日いきなり認識しないという場合は、寿命というより論理的なトラブル(ファイルシステムの破損、パーティション情報の消失、あるいは接続部の一時的な不具合)の可能性も残っています。この場合は自分で救える余地がまだあることが多いです。
寿命が近いサインをもう少し具体的に
前兆の話をもう少し掘ります。CrystalDiskInfoというフリーソフトを使うと、SSDの健康状態が「正常」「注意」「異常」で色付き表示されます。もしまだ別のPCでそのSSDが読める状態なら、一度これで確認してみてください。総書き込み量(TBW)が製品寿命に近づいていたり、代替処理済みのセクタ数が異常に増えていたりすると「注意」や「異常」の表示が出ます。
正直なところ、この数値がすでに「異常」まで来ている場合、僕はあまり悠長にコピー作業をおすすめしません。データが読めるうちに、必要なファイルだけでも先に別のドライブへ避難させる。これを最優先にしてください。ソフトで直そうとあれこれ試している間に、読めなくなる瞬間が来ることがあります。
SSDの寿命は「使用年数」よりも「書き込み量」に左右されるので、3年でダメになる人もいれば、8年使ってもまだ元気な個体もあります。目安が立てにくいのが正直つらいところです。
認識しない、で終わる前に試したいこと
前兆がなかった、または軽度の「注意」レベルだった場合、まだ試せることがあります。
まず別のPCやUSB接続の外付けケースに繋いでみて、ディスクの管理(Windowsキー+Xから「ディスクの管理」)を開いてみてください。ディスクそのものは認識されているのに、ドライブレターが付いていない、あるいは「未割り当て」と表示される場合、パーティション情報だけが壊れている可能性があります。これは復旧の見込みが残っている状態であることが多いです。似たケースをパーティションが消えて未割り当てに、復元できる?でも書いたので、状況が近い方は読んでみてください。
ここでやってほしくないのが「フォーマットしますか」の案内にうっかり従ってしまうことです。フォーマットは新しい住所録を作る作業なので、実行するとデータの場所が分からなくなります。焦って押してしまう人、本当に多いです。この画面が出た時の対処はフォーマットする必要がありますと出たら復元は諦めなくていいにまとめてあるので、先に目を通しておくと落ち着けると思います。
ディスクの管理でSSD自体が全く表示されない、BIOS(UEFI)画面でも認識していない場合は、これはもうソフトでどうにかなる話ではありません。次の章に進んでください。
BIOSでも見えない、それは自分でいじる領域じゃない
BIOS画面まで戻ってSSDの型番が表示されるかどうかは、故障の切り分けにかなり重要です。表示されていないなら、コントローラーチップの故障や、基板レベルの物理的な破損が疑われます。この確認の仕方自体はBIOSでHDD認識しない、起動しない時にまず確認することがSSDでもほぼ同じ手順で使えます。
正直に言うと、SSDの物理故障は僕らのようなライターや、家電量販店のスタッフレベルでは手が出せません。NANDフラッシュのチップ単位での障害だと、専用のクリーンルームと解析機材が必要になるケースもあります。焦げ臭い匂いがする、明らかに熱を持ちすぎている、水濡れの形跡があるといった場合も同じで、これは無理に開けようとせず業者に預けるべき状態です。
自分でやれる範囲と、専門業者に切り替えるべき境目についてはデータ復旧が自分でできる範囲と限界、業者に切り替える基準にも詳しく書いています。
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業者に頼む場合の料金感と、選ぶときに見てほしいところ
物理故障が疑われる場合の復旧費用は、症状の重さによって本当に幅があります。論理障害寄りの軽症なら2〜5万円くらい、基板やコントローラーの交換が絡む重度の物理障害だと10万円を超えることも珍しくありません。ここは「必ずこの金額」と言えるものではなく、業者による診断次第です。
僕がおすすめするのは、依頼前に無料診断・無料見積もりをしてくれる業者を選んで、金額に納得してから正式依頼することです。ここで「作業しないとキャンセル料が発生する」といった契約になっていないか、見積もり時に確認しておくと後悔が少ないです。料金の相場感についてはデータ復旧の料金相場と高い理由、見積もりで見るべき点にもう少し詳しくまとめました。
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論理障害が疑われるけれど自分で解決しなかった場合は、無理にあれこれ試すより、その時点で一度プロに見てもらうという選択肢も悪くありません。特に仕事の資料や、撮り直しのきかない写真・動画が入っている場合は、時間との勝負になることもあります。ただ、復旧できるかどうかは損傷の程度によって本当に差があるので、業者に見てもらっても必ず戻ってくるとは限らない、というのは正直に言っておきます。SSDの認識トラブル全般の切り分けについてはSSDが認識しない時の対処法とデータ復旧の可否を判断する方法も参考になると思います。
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今夜、まずやってほしいこと
前兆があったなら、それはSSDが「そろそろ替えてほしい」と静かに伝えていたサインだったんだと思います。悔しいですが、もう起きてしまったことは仕方ありません。今できるのは、これ以上通電を繰り返さないことと、まだ読めるうちに大事なファイルだけでも避難させることです。
BIOSでも見えない、異臭がする、明らかに様子がおかしいという状態なら、今夜これ以上いじらずに、朝になったら無料見積もりだけでも問い合わせてみてください。診断だけなら費用がかからない業者も多いので、そこで初めて「直せるのか、もうダメなのか」がはっきりします。今この瞬間にすべてを判断しなくていい、というのが僕から言えることです。
症状が違うなら、こちらを読む
自分で試していい状態と、今すぐ手を止める状態
症状が違えば初動も違う。以下は全記事共通の線引きである。迷ったら通電を止める側を選ぶ。
自分で試してよい(下の全てに当てはまる場合のみ)
- 異音がしない。カチカチ・ジジジ・カラカラいずれも鳴っていない
- 焦げ臭くない。煙は出ていない
- 水に濡れていない。落下させていない
- 機器自体はパソコンから見えている(認識はする)
今すぐ電源を切り、通電をやめる(一つでも当てはまるなら)
- カチカチ・ジジジ・カラカラなどの異音がする
- 焦げ臭い。煙が出た。基板が変色している
- 水没した。湿っている(乾かす目的でも通電しない)
- 落下・衝撃のあとに認識しなくなった
- RAID/NASでリビルドに失敗した
この状態でやってはいけない操作
- 再起動と抜き差しの繰り返し。通電のたびに状態は悪くなる
- chkdsk・フォーマット・修復ツールの実行
- 元の機器への上書き保存・復元先に元の機器を指定すること
復旧の可否は状態次第であり、可否も費用も診断しないと分からない。ここで保証はしない。
判断のもとにしている公的な情報源
このサイトについて
この記事を書いた人
真壁
データ復旧たすけ隊編集長 / 元フィールドエンジニア25年
メーカーのフィールドエンジニアを25年。工場や病院のサーバ室で、止まった機械と青ざめた担当者を前にしてきた。現場で学んだのは一つ。壊れた機械より、慌てた人間の操作のほうがデータを殺す。再起動、抜き差し、通電したままの放置。良かれと思ってやる操作で、戻ったはずのデータが戻らなくなる。だからここでは、理由より先に「今すぐやめること」を書く。復旧の保証はしない。悪化させない手順だけは断定する。
