BIOSでHDD認識しない、起動しない時にまず確認すること

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夜中に電源ボタンを押しても、いつものWindowsのロゴが出てこない。代わりに真っ黒い画面に英語がずらっと並んで、そこに「No boot device found」とか出ている。何度か電源を入れ直して、BIOS画面まで開いてみたら、ドライブの一覧にHDDの名前がない。空欄。

これ、僕が窓口にいた頃、深夜帯の問い合わせで本当に多かったパターンです。明日提出の資料が入っている、子供の運動会の写真が入っている、そういう時に限って起きるんですよね。まずお伝えしたいのは、今この瞬間にあなたがやるべきことは「これ以上いじらない」ということです。何度も電源を入れ直したり、BIOSの設定をあれこれ触ったりするのは、状況によっては悪化させる方向に働きます。とりあえず一度、電源を落として、深呼吸してから読み進めてください。

BIOSにHDDが出ないというのはどういう状態か

BIOS(最近のPCならUEFI画面と呼ばれることが多いです)は、Windowsが立ち上がるより前の段階で、PCに接続されている機器を認識しているかどうかを見せてくれる画面です。ここにHDDやSSDの名前が出てこないということは、OSの問題以前に「PCがドライブの存在自体を認識できていない」ということになります。

これ、原因がいくつかに分かれるんですよね。ケーブルの接触不良やコネクタの緩みといった物理的な接続の問題であることもあれば、ドライブ内部の基板やモーター、磁気ヘッドといった部品が壊れている場合もあります。あとは単純にBIOSの設定(SATAモードの設定など)がおかしくなっているだけ、というケースも実はそこそこあります。

厄介なのは、この三つが画面上ではほぼ同じ「表示されない」という症状に見えることです。だから慌てて分解したり、何度も抜き差ししたりする前に、順番に切り分けていく必要があります。

自分で確認していい範囲、ここまでは大丈夫

まず、デスクトップPCであれば電源を完全に切ってコンセントを抜いた状態で、HDDにつながっているSATAケーブルと電源ケーブルの両方を一度抜いて、しっかり挿し直してみてください。これだけで直ることが、正直言って結構あります。僕が担当した相談でも、ケーブルの端子が微妙に浮いていただけ、というオチは何度も見ました。

ノートPCの場合は内部のドライブを触るのはハードルが高いので、可能であればSATA-USB変換ケーブルなどを使って外付けの形で別のPCに接続してみる方法があります。ここで別のPCなら普通に認識するようなら、故障はドライブ本体ではなく元のPC側(マザーボードやケーブル、電源ユニット)にある可能性が高くなります。逆に、どのPCに繋いでも認識されないなら、ドライブ自体に問題があると考えたほうがいいです。

BIOSの設定についても、SATAの動作モード(AHCIとRAIDの切り替えなど)が意図せず変わっていることがあります。これは設定を戻すだけで直る場合もあるので、触ったこと自体に心当たりがあれば確認してみる価値はあります。ただ、心当たりがないのに設定をあれこれいじり回すのはおすすめしません。分からない項目を勘で変えると、余計に状況を複雑にすることがあります。

BIOSで見えない時点でOSからの操作はできないので、この段階では「フォーマットしましょう」といった案内が出ても絶対に実行しないでください。フォーマットは中のデータを消す方向の操作です。データを残したい場合、これだけは避けてほしいところです。

この切り分けの考え方は、外付けHDDが認識しなくなった時とも共通する部分が多いので、外付けHDDが認識しない時のデータ取り出し方法と初動も合わせて見ておくと、状況の整理がしやすいと思います。

こういうサインがあったら、それ以上触らないでほしい

ここからが一番大事な話です。ドライブから「カチカチ」「カチン、カチン」という周期的な音がしている、あるいは「キーン」という高い音がずっと鳴っている、電源を入れた瞬間だけ一瞬回転してすぐ止まる、焦げたような匂いがする。こういうサインがひとつでもあるなら、それは物理的な故障が起きている可能性が高い状態です。

この状態でケーブルを抜き差しし続けたり、電源のオンオフを繰り返したりするのは、内部の部品にさらにダメージを与える行為になりかねません。実際、僕が相談を受けた中には「音が気になって何度も電源を入れ直していたら、最初は一部読めていたデータが後半には完全に読めなくなった」というケースもありました。これは本人を責める話じゃなくて、誰でもやってしまうことなんです。データが大事であればあるほど、何かしないと気が済まないんですよね。気持ちはすごく分かります。でも、この状態での通電の繰り返しだけは、本当にリスクが高い操作です。

カチカチ音についてはもう少し詳しく書いた記事があるので、HDDのカチカチ音は物理障害。やってはいけないこと3つと正しい初動も参考にしてみてください。

物理的な異常のサインがある場合、素直に業者へ相談することをおすすめします。データ復旧の専門業者は、クリーンルームに近い環境で分解作業をしたり、部品を交換したりする設備を持っています。個人でできる範囲を明らかに超えているので、ここは無理をしない方がいいところだと僕は思っています。

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自分でできる範囲を試してもダメだった時の考え方

ケーブルの挿し直しや別PCでの確認をやってみて、それでもBIOSにドライブが出てこない、かつ異音などの物理的な兆候もない、という場合は判断が少し悩ましくなります。論理的な軽い不具合の可能性もゼロではないですが、正直なところBIOSレベルで認識されない状態は、外付けHDDが繋がっているのに開けない、といった症状よりも一段階深刻なことが多い印象です。

こういう時、僕は無理に自分でどうにかしようとするより、一度専門業者の無料診断や見積もりを使ってみることを勧めています。データを取り出せるかどうかの診断だけなら無料でやってくれる業者もそこそこあります。ここで「軽度の論理障害なので〇万円くらいで復旧可能です」とか「物理障害があるので分解が必要で〇十万円くらいかかります」といった説明を受けてから、自分でやるかどうかを決めても遅くはありません。

料金は業者によっても症状によっても本当に幅があって、軽度なら数万円くらい、重度の物理障害だと十数万円から数十万円かかることもあると言われています。ここは「絶対にこの値段」とは言えない部分なので、見積もりを比較してから判断するのが結局は一番安心です。高額請求への不安がある人は、事前の料金体系の説明がはっきりしている業者を選ぶといいと思います。

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自分でできることとプロに任せるべきことの境界線については、データ復旧が自分でできる範囲と限界、業者に切り替える基準にも詳しく書いているので、判断に迷ったら読んでみてください。

復旧できるかは正直、開けてみないと分からない部分がある

ここまで書いてきましたが、正直に言うと「必ず直ります」とは僕には言えません。ケーブルの接触不良程度なら数分で解決することもありますし、逆に基板が焼けているような重度の故障だと、専門業者でも復旧率が下がってしまうケースがあります。成功率はドライブの状態やどんな壊れ方をしたかによって本当に変わるので、そこは過度に期待しすぎず、かといって諦めすぎずに、順番に確認していくしかないんですよね。

もし今、BIOS画面を開いたまま呆然としているなら、まずは一度電源を切って、ケーブルの挿し直しと別PCでの接続確認、これだけをやってみてください。異音がないことを確認してから。それでもダメなら、無理に分解する前に、無料見積もりで今の状態を診てもらう。今日やれることは、たぶんそれだけで十分です。

症状が違うなら、こちらを読む

自分で試していい状態と、今すぐ手を止める状態

症状が違えば初動も違う。以下は全記事共通の線引きである。迷ったら通電を止める側を選ぶ。

自分で試してよい(下の全てに当てはまる場合のみ)

  • 異音がしない。カチカチ・ジジジ・カラカラいずれも鳴っていない
  • 焦げ臭くない。煙は出ていない
  • 水に濡れていない。落下させていない
  • 機器自体はパソコンから見えている(認識はする)

今すぐ電源を切り、通電をやめる(一つでも当てはまるなら)

  • カチカチ・ジジジ・カラカラなどの異音がする
  • 焦げ臭い。煙が出た。基板が変色している
  • 水没した。湿っている(乾かす目的でも通電しない)
  • 落下・衝撃のあとに認識しなくなった
  • RAID/NASでリビルドに失敗した

この状態でやってはいけない操作

  • 再起動と抜き差しの繰り返し。通電のたびに状態は悪くなる
  • chkdsk・フォーマット・修復ツールの実行
  • 元の機器への上書き保存・復元先に元の機器を指定すること

復旧の可否は状態次第であり、可否も費用も診断しないと分からない。ここで保証はしない。

判断のもとにしている公的な情報源

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この記事を書いた人

真壁

データ復旧たすけ隊編集長 / 元フィールドエンジニア25年

メーカーのフィールドエンジニアを25年。工場や病院のサーバ室で、止まった機械と青ざめた担当者を前にしてきた。現場で学んだのは一つ。壊れた機械より、慌てた人間の操作のほうがデータを殺す。再起動、抜き差し、通電したままの放置。良かれと思ってやる操作で、戻ったはずのデータが戻らなくなる。だからここでは、理由より先に「今すぐやめること」を書く。復旧の保証はしない。悪化させない手順だけは断定する。

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