SDカードの写真が消えた スマホで復元する前にやること

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夜中に相談フォームから連絡をくれた人がいた。「子供の3歳の誕生日の写真が全部消えた、SDカード認識しない、もう無理でしょうか」。時刻は深夜1時半。文面から焦りが伝わってきて、僕もこういう相談は5年やってきたけど何度見ても慣れない。

先に言っておく。SDカードの写真が消えても、多くの場合はまだ間に合う。ただし「まだ間に合う」を「絶対に戻る」と勘違いしないでほしい。ここは本当に大事なところなので最初に書いた。

とにかく今すぐやめてほしいこと

写真が消えたと気づいた瞬間、多くの人がやってしまうのがこれ。もう一度スマホに挿し直す、電源を入れ直す、新しく写真を撮ってみる、「フォーマットしますか」と出たらとりあえずフォーマットしてみる。

正直に言うと、この「とりあえず」が一番怖い。

SDカードの中で写真データが消えたように見えても、実はデータの実体はまだカードの中に残っていることが多い。ファイルの管理情報だけが壊れて、スマホ側からは「見えない」状態になっているだけのケースがかなりある。ここで新しい写真を撮ったり動画を録画したりすると、その空いてる場所に上書きされてしまう。上書きされた部分は、もう業者でも戻せない。

だからやるべきことは逆で、「触らない」こと。スマホからSDカードを一度抜いて、そのまま放置してほしい。充電もしない、写真も撮らない、できれば箱にでも入れて保管しておく。これだけで復元できる可能性は大きく変わってくる。

消えた原因によって話が変わってくる

相談を受けていて感じるのは、「写真が消えた」の中身が人によって全然違うということ。

急にSDカードそのものを認識しなくなった、フォルダを開くと真っ白、誤ってフォーマットしてしまった、うっかり削除した、スマホを落としてから調子が悪い……原因がバラバラなのに、みんな同じ言葉で「消えた」と表現する。

このうち「誤って削除した」「フォーマットしてしまった」は論理的なトラブルで、パソコンと無料ソフトを使えば自分で直せる可能性が十分にある。一方でSDカード自体が認識しない、水に濡らした、変な音がする(まあSDカードで音がすることはほぼないけど)、折れ曲がった、というのは物理的な破損の疑いがあって、これは自分でどうこうできる範囲を超えている。

このあたりの切り分けはSDカード認識しない時の復元方法、業者に出す前の判断基準でもう少し詳しく書いたので、認識自体がおかしい人はそちらも見てもらえたらと思う。

自分で試せる復元方法(パソコンが必要)

スマホだけでは正直、写真の本格的な復元は難しい。SDカードをパソコンのカードスロットに挿すか、カードリーダー(1000円前後でどこでも買える)を使ってパソコンに読み込ませる必要がある。

僕がよく案内するのは無料の復元ソフトを使う方法だ。有名どころだと「Recuva」とか「PhotoRec」あたりが定番で、どちらも無料で使える。手順としては、

1. SDカードをカードリーダー経由でパソコンに挿す 2. 復元ソフトを起動して、対象のドライブ(SDカード)を選ぶ 3. スキャンを実行する(これが地味に時間かかる、64GBのカードだと1時間くらい見ておいたほうがいい) 4. 見つかったファイルの一覧から、写真(.jpgや.heic)を探して、必ず「SDカードとは別の場所」に保存する

この最後の「別の場所に保存する」を忘れる人が結構多い。復元したファイルをSDカードの中に戻してしまうと、また上書きの危険が出てくる。パソコンのデスクトップとか、別のUSBメモリに保存するのが鉄則。

ちなみにゴミ箱から消えたケースの復元手順は考え方が近いので、ゴミ箱を空にした後Windowsで復元する方法と成功率も参考になるかもしれない。

無料ソフトでどこまで戻るかは、正直やってみないと分からない部分がある。消してから時間が経っていない、その後SDカードを使っていない、という条件が揃っていれば体感的には結構な確率で戻ることが多い。逆にフォーマット後に何度も撮影して使い続けてしまった場合は、ソフトを使っても数枚しか出てこない、なんてこともある。ここは本当にケースバイケースとしか言いようがない。

無料ソフトを試す前に、まずSDカードの状態をチェックしたい人は下のツールで確認してから進めるのも手だと思う。

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フォーマットしてしまった人へ

「エラーが出たのでフォーマットしました」という相談、実はすごく多い。スマホやカメラが「このSDカードは使用できません、フォーマットしますか」と聞いてくるあの画面。焦ってYESを押してしまう気持ちはよく分かる。僕も昔、仕事用のSDカードで同じ画面が出て一瞬指が止まったことがある。

フォーマット直後であれば、まだ復元できる可能性は残っている。ただしフォーマット後に新しく写真を撮ったり、カードを別の機器で使い回したりすると状況は一気に悪化する。この場合の具体的な手順はSDカードをフォーマットして復元したい人が最初にやることにまとめてあるので、そちらを先に読んでから作業に入ることをおすすめする。

こういう症状のときは自分でいじらないでほしい

ここからは僕がいつも強調している線引きの話。

SDカードを挿しても「フォーマットしてください」の表示すら出ない、パソコンに挿してもドライブとして全く認識されない、カードの端子部分が焦げたように変色している、水没させた後乾かしたら動かなくなった、無理に何度も抜き差ししたら熱を持っている――こういう症状は、物理的にチップやコネクタが壊れている可能性がある。

こうなると家庭用の復元ソフトは基本的に無力だ。それどころか、変な手順(分解する、別のカードリーダーで何度も試す、水没後にドライヤーで急いで乾かすなど)を踏むと、まだ生きていたかもしれないデータまで完全に読めなくなることがある。実際、僕が窓口にいた頃も「自分でいろいろ試したあとに業者に持ち込んで、結局復元不可になった」というケースを何度も見てきた。あれは見ていてつらかった。

外付けHDDの物理的な異音についても似た話をしていて、外付けHDDが認識しない時のデータ取り出し方法と初動でも同じ考え方を書いている。壊れ方の種類は違っても、「自分でいじって悪化させない」という初動の考え方は共通している。

業者に頼む場合の目安

物理故障が疑われる場合、データ復旧業者に見てもらうのが現実的な選択になる。料金は症状の重さやSDカードの容量によって幅があって、軽度の論理障害なら1万円台からと言われることが多く、物理的な損傷が絡む重度のケースだと5万円〜10万円以上になることもあると聞く。ここは本当にピンキリで、正直「調べてみないと分からない」というのが実情に近い。

だからこそ無料診断・無料見積もりをやっている業者を選んで、まず状態を見てもらってから金額を確認するという流れが安心だと思う。「必ず直ります」と即答してくる業者にはむしろ少し慎重になったほうがいい、というのが僕の個人的な感覚。中身を見ずに保証できるはずがないからだ。

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消えた後、僕がいつも思うこと

写真は増えれば増えるほど、いざという時のバックアップの大切さが後回しになりがちだ。僕自身、子供の運動会の動画をSDカード一枚にしか入れていなくて、後から血の気が引いたことがある。あの時は幸い認識自体はしていたので事なきを得たけど、あれ以来、旅行や行事のあとは必ずクラウドかパソコンにコピーするようにしている。

今すぐ全部を完璧にしろとは言わない。ただ、今回SDカードが無事に戻ったら、写真をどこか一箇所に保存する癖だけはつけておいたほうがいい。同じ焦りを二度味わいたくないなら、それが一番の予防線になる気がする。

症状が違うなら、こちらを読む

自分で試していい状態と、今すぐ手を止める状態

症状が違えば初動も違う。以下は全記事共通の線引きである。迷ったら通電を止める側を選ぶ。

自分で試してよい(下の全てに当てはまる場合のみ)

  • 異音がしない。カチカチ・ジジジ・カラカラいずれも鳴っていない
  • 焦げ臭くない。煙は出ていない
  • 水に濡れていない。落下させていない
  • 機器自体はパソコンから見えている(認識はする)

今すぐ電源を切り、通電をやめる(一つでも当てはまるなら)

  • カチカチ・ジジジ・カラカラなどの異音がする
  • 焦げ臭い。煙が出た。基板が変色している
  • 水没した。湿っている(乾かす目的でも通電しない)
  • 落下・衝撃のあとに認識しなくなった
  • RAID/NASでリビルドに失敗した

この状態でやってはいけない操作

  • 再起動と抜き差しの繰り返し。通電のたびに状態は悪くなる
  • chkdsk・フォーマット・修復ツールの実行
  • 元の機器への上書き保存・復元先に元の機器を指定すること

復旧の可否は状態次第であり、可否も費用も診断しないと分からない。ここで保証はしない。

判断のもとにしている公的な情報源

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この記事を書いた人

真壁

データ復旧たすけ隊編集長 / 元フィールドエンジニア25年

メーカーのフィールドエンジニアを25年。工場や病院のサーバ室で、止まった機械と青ざめた担当者を前にしてきた。現場で学んだのは一つ。壊れた機械より、慌てた人間の操作のほうがデータを殺す。再起動、抜き差し、通電したままの放置。良かれと思ってやる操作で、戻ったはずのデータが戻らなくなる。だからここでは、理由より先に「今すぐやめること」を書く。復旧の保証はしない。悪化させない手順だけは断定する。

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