GoProの画面に「SDカードエラー」。ならば撮影を止め、電源を切り、カードを抜く。カメラ内での「フォーマット」は押さない。消えた動画の実体はまだカードに残っていることが多い。理由は下で説明する。まず抜く。
1. 電源を切り、microSDを抜いて机に置く。
2. パソコンとカードリーダーがあるなら、無料ソフトPhotoRecでスキャン。
3. 落下・水没・端子の変色があるなら、スキャンせず無料診断へ。
※復元できるかは上書きの有無で決まる。保証はできない。
やってはいけないこと
禁止② そのカードで撮り直す。新しい動画が、消えた動画の上に物理的に上書きされる。上書きされた部分は業者でも戻らない。
禁止③ カードをスマホに挿す。OSが自動でフォルダやサムネイルを書き込む。書き込みは全て上書きの候補。
GoProの動画は1本が大きく、カード上で連続した領域を取りにくい。だから上書きの影響が写真より出やすい。書き込みをゼロにする。これが復元率を決める唯一の条件。
症状で分ける。判断は二択
| 画面の表示・状況 | 中身 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 「SDカードエラー」「SD ERR」 | 目次(ファイルシステム)の破損が多い | 抜いてPCでスキャン |
| 「NO SD」・カードを認識しない | 端子汚れかカード自体の故障 | 別のリーダーで1回だけ確認 |
| 動画を自分で削除した | 実体は残っていることが多い | 撮影せずPCでスキャン |
| 動画が途中で止まる・再生不可 | 記録中の電源断でファイル破損 | ファイル修復を先に試す |
| 落下・水没のあとに出た | 物理障害の疑い | 通電せず無料診断 |
認識自体しないなら、SDカードが認識しない時の判断基準の切り分けが先。再生できない動画はMP4が破損して再生できない時の修復手順へ。以下は「認識はするが動画が無い・エラーが出る」場合の手順。
無料ソフトで復元する手順
使うのはPhotoRec。CGSecurity公式の無料ソフトで、WindowsでもMacでも動く。ファイルの目次を使わず、盤上の痕跡からMP4やJPGを拾い出す方式。目次が壊れたカードに向いている。
復元ソフトのインストール先と保存先を、このカードにしない。ここを間違えると、スキャンそのものが上書きになる。
GoProは長い撮影を複数のファイルに分けて記録する。復元後に同じ日の動画が数本に分かれて出てくるのは正常。
「.LRV」「.THM」という小さなファイルも出る。低解像度のプレビューとサムネイルだ。本体の動画は「.MP4」の方。
ここから先は自分で触らない
・海や川で使ったあとに症状が出た。ハウジング内に水滴があった
・落下・衝撃のあとに認識しなくなった
・端子が黒く変色している。カードが反っている
・PhotoRecを1回かけて、動画が1本も出なかった
弱ったカードへの繰り返しスキャンは、とどめになる。1回で出なければ、2回目は業者の設備で読む。カードは紙に包み、通電せず保管する。
SDカードの復旧費用は、論理障害なら数万円が目安。物理障害は診断しないと分からない。相場の考え方はデータ復旧の料金相場に書いた。自力の限界線は自分でできる範囲と限界で引ける。
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復元できたら、次の撮影の前に
戻った動画をPCと外付けの2箇所に保存する。その後でカードをGoPro本体でフォーマットする。復元後のカードは目次が不整合のまま。そのまま使い回すと、次のエラーが早い。
エラーが2回続いたカードは撮影に使わない。GoProの4K撮影は書き込み速度の要求が高い。速度不足のカードは記録中断の原因になる。GoPro公式の推奨カード一覧に載る型番へ替える。
症状が違うなら、こちらを読む
自分で試していい状態と、今すぐ手を止める状態
症状が違えば初動も違う。以下は全記事共通の線引きである。迷ったら通電を止める側を選ぶ。
自分で試してよい(下の全てに当てはまる場合のみ)
- 異音がしない。カチカチ・ジジジ・カラカラいずれも鳴っていない
- 焦げ臭くない。煙は出ていない
- 水に濡れていない。落下させていない
- 機器自体はパソコンから見えている(認識はする)
今すぐ電源を切り、通電をやめる(一つでも当てはまるなら)
- カチカチ・ジジジ・カラカラなどの異音がする
- 焦げ臭い。煙が出た。基板が変色している
- 水没した。湿っている(乾かす目的でも通電しない)
- 落下・衝撃のあとに認識しなくなった
- RAID/NASでリビルドに失敗した
この状態でやってはいけない操作
- 再起動と抜き差しの繰り返し。通電のたびに状態は悪くなる
- chkdsk・フォーマット・修復ツールの実行
- 元の機器への上書き保存・復元先に元の機器を指定すること
復旧の可否は状態次第であり、可否も費用も診断しないと分からない。ここで保証はしない。
判断のもとにしている公的な情報源
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この記事を書いた人
真壁
データ復旧たすけ隊編集長 / 元フィールドエンジニア25年
メーカーのフィールドエンジニアを25年。工場や病院のサーバ室で、止まった機械と青ざめた担当者を前にしてきた。現場で学んだのは一つ。壊れた機械より、慌てた人間の操作のほうがデータを殺す。再起動、抜き差し、通電したままの放置。良かれと思ってやる操作で、戻ったはずのデータが戻らなくなる。だからここでは、理由より先に「今すぐやめること」を書く。復旧の保証はしない。悪化させない手順だけは断定する。
